
サイズが無くて買えなかったロングスパッツを求めて、昨日は人だかりの中オックスフォードサーカスへ。
試着できないことに辟易しながらも結果的にはピッタリのサイズだったお目当てを購入して帰路へ。
表通りには観光客もいるようで、未だ装飾されたまんまのクリスマスイルミネーションをパチリパチリと写真に納めているカップルも何人かいました。
その中のおそらくメインであるゲートに『Christmas Carol』の文字が書かれているのを見たとき
「あれ、Carolって人の名前じゃないんだ。どういう意味なんだろう」
と今更ながら考えてしまいました。
昔から日本でも耳にしていた言葉だったのに、永ちゃんのバンド『キャロル』も含めてCarolを人の名前として認識がすり替えられたのは、10年以上も前にペルーで同じつづりの女性に出会ってからです。
以前、ペルーで所属チームから戦力外通告を受けた日の夜に日系人のチームメイトに誘われてプッタ(売女)を買いに行ったことを書きましたが、その時に売春宿で出会ったプッタがまさしくその女性です。
その日の夕方、僕が住んでいたベースボールスタジアムに、約束していたチームメイトが迎えに来ました。
そしてそのチームメイトの隣には知らない男が立っていました。
日系の血が混ざっているにしてもいないにしても顔の濃すぎる彼は大学で英語を勉強しているらしく、どっちにしろ大して喋れないのに僕のスペイン語の会話能力を気遣って英語で話しかけてきました。どっさり鼻毛を肥やしながら。
売春宿へ向かうタクシーの中、こっちは所属チームどころか棲み家も失くすことに頭を悩ませているのに、終始フルテンションの大学生は料金システムのことやらお勧めのプッタの話やらを嬉しそうに僕に説明してきます。
「俺がいつも買ってるコはモニカっていうんだけどねえ、もうすごくいいコでとにかくすごくbeautiful、いや…beatifulじゃないなあ……なんて言うんだっけこういうの」
知らねえよ。
しかしチームメイトは優しく返答。
「prettyかい?」
「いや…うーんprettyとも違うなあ」
知らねえよ。
「じゃあcuteだ」
「そう!それだ!cuteだcute!!彼女はすごくcuteなんだよ。ダッハッハッハッハ!!」
何が面白いのかわからないけどイメージ通りの下卑たバカ笑いで車内の温度を上げていました。
売春宿に着くと受付で元締めみたいな男に10ソル(当時のレートで300円ちょい)を払い、1階2階合わせて100以上も部屋があるコの字型の建物の中へ。
ドアが閉まっている部屋は今まさにコトの最中。ドアが空いている部屋の入口にはプッタが立っていて、それを客が見て値段を聞いて(または交渉して)、するかどうか決めるシステム。
ちなみにどうしようもないババアなんかが15ソルくらい、閉まってるドアの前で順番待ちの行列を作られるような人気のあるコは30ソルくらいと高め。それでも日本に比べたら格安だけど。
それと料金は時間単位ではなく一回の射精でいくら、なのでここでは早漏は早くに退出するし遅漏は長引くし、という図式になります。
言葉のつたない僕のことを二人とも心配してくれて
「先にキッチーの相手が決まってから俺たちはそれぞれ目当てのコの部屋に行くよ」
と言うから、順番待ちしなくていいことと名前の響きだけで例のCarolに決めて、彼ら二人を後にしてドアを閉めました。ちなみに読みは『カロル』。
中に入るとシャワー無し、前戯無し、コンドーム有り、の超簡潔合理化サイクル。プッタを物と考えればある意味徹底リサイクル。怒られるか。
「勃ったら早く入れて早く出してちょうだいな」
と言わんばかりの情緒もヘチマも無い流れ作業みたいなセックスを流れ作業台みたいなベッドでCarolと始めると、そんなムードゼロの状況にも関わらずいつもより何倍増しかのスピードで果てました。
気まずさにいそいそと服を着ながら、外に出たら近くの部屋で連れたちが順番待ちしていることを想像して、「目撃されたときの短い滞在時間の言い訳に『今日は疲れてたんだよ』というのは全世界共通かな」などと考えていました。
そして実際ドアを開けてみると近くの部屋どころかドアの真ん前にニコニコ顔の大学生が。心配で僕を待ってたみたいです。
出落ちのような鼻毛メインの笑顔に、早漏と思われてしまっただろうことに対しての気恥ずかしさと「余計なお世話」な憤りも多少沸かせながらも一応
「ありがとう。ところでおまえは早くモニカの部屋に行かなくていいの?」
と聞くと
「もう行ってきたよ!終わってからまたこっち来てキッチーのこと待ってたんだよ!ダッハアッ!」
とパンチ力のある笑い声を炸裂させてました。何が面白い。
その人柄ではなくスピードに素直に脱帽して僕は心の中で彼のことを『マッハ男爵』と呼ぶことにしました。
心の中で、というのは実際に言葉にして呼んだら悪いかな、と気を遣ったわけではなく、スペイン語訳が出来なかったらからです。
その後二人で超遅漏のチームメイトを一時間半ほど待って、何故だか敗北感に満ちた僕らは無言で帰宅。
心の中ではさんざんマッハ男爵に話しかけていました。
「ヘイ。マッハ男爵。何故きみは鼻毛を切らないんだい?」
「ヘイ。マッハ男爵。何故きみはおかしくもないところで馬鹿笑いをするんだい?」
「ヘイ。マッハ男爵。何故きみはきっつきつなワイシャツの第一ボタンをとめたままにしてるんだい?」
「ヘイ。マッハ男爵。何故きみはマッハ男爵と呼ばれてるんだい?」
それは超早漏だから。
翌日以降、スポーツパーク内で男爵を見かけることはあっても一切声はかけませんでした。
ちなみに彼の本名は『ディエゴ』。
かのアルゼンチンの英雄にして暴君、マラドーナと同じファーストネーム。
イメージありすぎ。
こんなことしてるから彼女と音信不通になるんだな。