2009年12月1日火曜日

あれは確か11月の第二土曜日だった。


靴下に穴が空きました。
福岡で働いている時、誕生日に部下の『トビ』からもらったものです。
フットサル用のストッキングだったんですが、お気に入りだったので日本にいる時からヘビーローテーションではいていました。
イギリスに来てからは、サッカー用のソックスはこれしか持ってきてなかったので毎朝使っていました。
新しいのを買いには行くけどこれはこれでまだ使うであろう僕は、一年以上過ごした福岡での最後の日を思い出します。

荷物の積み終わった車に乗って岡山に転勤する日の終礼のことでした。
やはり事務所であり自宅である一軒家の一室で、最後の感謝と激励の言葉を一部署の長である僕から部下たちに贈り、うまい具合に締めようかななどと思ったときに、部下の一人、『ヤンキー』が
「俺らからも最後、キッチーさんに言葉を贈らせてくださいよ」
と、泣ける申し出が。

照れながら「わかった。じゃあよろしく頼むわ」と促すと、みんなのいじめられ役である『トビ』が駄々をこねながらもそこそこ厳かな空気の中、トップバッターに。

「えー、キッチーさんには立ち上げのときに採用してもらい、この一年ちょっとの間、僕は常日頃からキッチーさんに『おまえは社会人として、だけではなく人間としても最低だ』と言われ続けてきましたが・・・」
という、いきなり我ながらの毒々しさを再確認させられる切り口で、「これは笑いどころのなのかな」と微妙な空気に戸惑っていると、『トビ』の目にははっきりと涙が。

「…『最低だ』と言われ続けてきましたが、僕にとってキッチーさんは…最高の…うっ…ううっ…(嗚咽)…最高の上司でした」
涙を浮かべ、そして涙をこぼしながら、上司冥利に尽きる言葉を言ってもらい、本来お涙ものなんですが、いかんせん普段から「人間としても最低」と言われていた部分がコントじみていてひっかかり、笑いそうになるのをこらえてました。

そこへ『ヤンキー』のとどめの一言。
「いや、正確には『最低より更にちょっと下』って言われてたよ」

ブフゥッ!
鼻水が出かかりました。

「あ、そうだった。普段から僕はキッチーさんに『最低よりちょっと下』って言われ続けてきましたが…」
などと『トビ』もご丁寧に言い直す始末。
このあと『ヤンキー』の
「おまえが先に泣いたからキッチーさん、泣けなかっただろ!」
という理不尽な説教まで飛び出して、しみったれた空気は一気に和みました。

終礼が終わってから車に乗り込んだ僕を部下たちがみんなで見送ってくれた時、『ヤンキー』が数日前に僕から貰ったアンマンを「餞別です」と言って僕に渡したのは天然なのか何かわからなかったけど、別れっていうのはこんな感じがちょうどいいな、なんて思ってました。
アンマンは固くて食えなかったから山口のパーキングエリアで捨てました。

ちなみに何だかんだで彼らとは未だに連絡を取り合ってます。
今年の夏も宮崎の海で遊びました。
たぶん次会うのもサーフィン絡みだろうな。

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