数ある「場違いなパーティーに出席」でよく思い出すことが二つほどあります。
一つ目は10代のころブラジルで。
今と同じような時期、クリスマスシーズンに僕以外の選手全員が帰郷するため寮を閉めるとのことで、僕はブローカーの手筈で100キロほど離れた都会のとある街で3週間ほど下宿することになりました。
移動初日が、当時日本との遠距離恋愛をしていた恋人の誕生日ということで、12時間の時差にギリギリ間に合うように、国際電話でバースデーコールをしました。当時はメールとか無かったからね。
約半年ぶりに聞いた彼女の声にある種のノスタルジックも手伝って惚れ直しはしたが、金銭的な都合で通話時間はたったの90秒。
とはいえ男の純情と一途さに自己陶酔する意味も含めて
「もっともっとサッカー頑張ろう」
なんて彼女への恋心を励みに変えながら下宿先に戻りました。
そしてその下宿先で、同じくその日に田舎から上京してきたジゼーリという女の子に出会いました。
元来がダメ人間な僕は(あるいは平均的な10代の男の子であった僕は)、ほんの数時間前に自分の彼女に惚れ直したばっかりだというのに、ジゼーリに一目惚れをしました。
ジゼーリは平均的なブラジル人の例に洩れず、社交的で遠慮を知らないものですから、職探しから近場への散歩まで、ちょいちょい僕を誘ってくれます。
その誘いの一つにジゼーリの職場のパーティーがありました。
言葉がまともに喋れないことと、「おまえだけうちの職場の人間じゃないじゃん」以外は特筆するようなものは無く、ごく普通に場違い感と疎外感を感じただけだったのですが、翌日そのことについて書いた、10代特有の勢いに任せただけのギャグと下ネタをふんだんに盛り込んだ文面の手紙を、高校時代からの付き合いの『前科』に送りました。
ところで当時僕は渡航前に(前出の恋人じゃない方に)二股がばれて、飛びっきしの残尿感のような後ろめたさを感じながら日本を後にしたのですが、そのばれた方の女のコと共通の友人である『前科』は、事あるごとに僕の手紙の内容を彼女に聞かれていたみたいで、しかし女の話と下ネタがメインの手紙の内容はなかなかに教えづらく
「うーん。キッチーの字、汚くて読みづらいんだよね」
と、趣旨が今一わからない嘘を常についていたみたいです。
ちなみに数カ月後、日本に帰国してから『前科』宅を訪問した際に、大量のエロ本と大人のオモチャなどが入った段ボール箱、通称「親に見られちゃいけないものボックス(別名・宝箱)」の中身をあさった時に、僕が送った数通の便せん全てをそこで発見しました。
そんなことを思い出していると『前科』から律儀にクリスマスメールが。
「メリークリトリス
おかげさまで仕事も順調にいきそうだよ。
サーフィンいこ。また」
全文、まんまで載っけてみたけど、おそらく中学時代あたりからさんざん使い古した下ネタを、三十路をとうに過ぎた今でも初っぱなに持ってくるあたりはさすが。
もはや通常の挨拶文。
『前科』以外にもこういう友達が何人か僕の周りにはいるんだけど、これって日本の三十代男性にとって普通のことなのかな。たぶん違う。
「やられたらやり返す」の精神で、下ネタ10倍返しのメールをあの頃に負けない気持ちで返信したけど、「親に見られちゃいけないものボックス」に隠さないでよくなった科学の進歩にとりあえず感謝だな。
嫁に見られないようにしろよ。
おかしいな。最初は一途なイイ男風に話が始まったのに気付いたらダメ人間丸出し。
いつも本題からそれて、こんなふうに自分自身をおとしいれちゃうけど、気取ったところで元が元だからしょうがないか。
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