散々な夜でした。
新人クラスメイトのブラジリアン、ジュリアーナに誘われてクラブに行ったはいいけど、僕以外のクラスメイトは全員断ったらしく、現場に現れたのはジュリアーナ以外では僕一人。
このパターン、ロスィオのときのコロンビアンナイトでも味わっている。
まあ週の前半だしブラジル人のパーティーにコロンビアンは行きづらいよな、なんて各大陸と主要国の序列関係みたいのを推測してみたけど、それとは関係無しにジュリアーナは毎晩のようにクラブで踊っているとのこと。
ちなみにクラブに着いたら着いたで1時間以上も僕はジュリアーナに会えなくて、ひとりポツネンと寂しくうろついていました。
そんな出だしだったので彼女に会えて彼女の友達に紹介された時もテンションとしては非常に低かったのですが、クラブで不機嫌な顔をするのも大人げないと思い、シラフなのに頑張って彼女たちとノリノリに腰を振ってあげました。
その時にステージ上ではプロのダンサーが何人か踊っていたのですが、僕より体が絞れていそうなネグラ(黒人女性)とファンパオロばりにたるんたるんな体のブランカ(白人女性)のパーフェクトなリズム感を見て、僕は二つのことを考えました。
一つ目は
「ブラジル人はサンバで鍛えたリズム感があるからサッカーも上手いんだよな」
などというほとんどの人が意味をよくわかっていないで言っているこの手のセリフが、全然ジョークではないということ。
多くの指導者がきちんと認識していないのですが、スポーツにおいて、特に足で物を扱うスポーツであるサッカーにおいては歩幅以上に歩数というものが非常に重要であり、何歩目でどっちの足を蹴り足に使うのか、もしくは軸足にしながらボールを触るのかということを非常に込み合った空間と時間の中で判断するのに脳の準備だけでは間に合いません。
それを普段の練習で体に覚え込ませるわけですが、練習以外の日常からステップの難しい踊りを踊っているという生活習慣は、きっとそれに対して大きな助けとなっているのではないでしょうか。
ちなみに僕がブラジルにいたころの練習で、二人一組で非常にゆっくりのペースでランニングパスをするというアップがあったのですが、ブラジル人たちは歩数というものを意識しているだけあって、逆に互いのリズムを崩さないように、互いのパスを恐ろしく正確なコースとスピードで交わし合っていました。
そして僕は、ナイスパスの基準が非常に厳しいこの練習のリズムを右足で覚えるのに一年間かかりました。
ちなみに左足はとうとう覚えられず終い。
日本人が長いこと好んできた、あるいは得意としてきたものには野球や、空手、柔道、合気道のような武道がありますが、思えばどれもリズムよりも間を重要とする競技です。
こんな指導者の鏡のようなことをケツを振り振り考えていたのですが、もう一つの考え事は
「何でジュリアーナは毎晩のようにこんなハードなサンバを踊っているのにちっとも痩せないのだろう」
ということです。
もちろん栄養学とかダイエット学とかの観点ではなく男の視点です。
テンション低かったのに、指導者っぽいことを考えていたのに、同時にエロ目線が出来るのはある意味男の鏡と言えなくもないか。
こんな感じに深夜2時までブラジリアンナイトを楽しんだわけですが、高飛車なパウリスタ(サンパウロ人)なフラットメイトたちにはあまりなじめなかったので、ジュリアーナにフラットに誘われたけど「バスがまだあるから家に帰るよ」と断って帰路に就きました。
これが失敗。
クラブの場所は学校のすぐ近くだったのですが、そこら辺一帯からバスで帰宅したことのない僕は、自分ち方面のバスを捕まえることが出来ずにひたすら歩き続ける羽目に。
とりあえず寒さと寂しさを紛らわすために、ipodから流れる曲に合わせて歩きながら熱唱を続けました。
こんな時は邦楽だなと思い、選んだのは「野狐禅」。
「銭でも降ってこねえかと アホ面で空を見上げれば 慰めみたいな粉雪が 灯油くせえジャンパーに落ちる」
なんて人のいない通りで熱唱しながら歩き続けたけど、降ってきたのは慰めにもならない冷たい雨でした。
一時間ほど歌ったところでさすがに疲れてきて、治安の悪さでまあまあ有名な通りを無言でひたすら歩き続けていたのですが、歩き続けた疲れとジュリアーナの誘いを断った後悔からイライラもピークに達した頃、さしていた傘を何者かに弾かれました。
ビックリして傘をどかして見てみると、そこにはニヤけ面の白人が。
ここは一丁買ったらあと思い、啖呵を切ったつもりだったのですが出てきた言葉は
「Why?」
えーと、落ち着け落ち着け。もうちょっとマシなセリフを。
「何してんだコラ」は What're you doing kora?
違う違う。
冷静に頭を落ち着かせて再度切った啖呵は
「あなたは何故私の傘を叩いたのですか?」
でした。
今思えば日本語で吠えてやればよかったのでしょうが、殴り合いのケンカなんて何年もしてないから久しぶりのことで上がってたんでしょうね。
ただしこのバリバリのスクールイングリッシュが逆に気持ち悪かったのか、その白人のあんちゃんの舐め切った態度が急にしおらしくなり、下手に出て
「ごめんよ。ちょっと酔っ払っちゃっててただのジョークだったんだよ。ホントにごめん」
と来たもんだから、怒りの行き場を失くした僕はとりあえず許しはしたけど、更にイライラは増していきます。
そんなんだから、その不機嫌が顔に出ていたのか、別の通行人に道を聞こうとした時に
「ソーリー、ソーリー」
と今度は逆に僕が怪しい人間に思われて小走りで逃げられました。
ただし基本諦めの悪い僕は
「ノーノー」
と何がノーなのかそう叫びながら小走りで追いかけて道を聞き出すことに成功。
驚かせてごめんね、おっちゃん。
こうして奮闘しながらやっと我が家に就いた時刻は実に明け方4時半。
次からは自分以外に誰が参加するのか確かめてからパーティーには参加します。
写真は上がお色気番長のジュリアーナ。
下の二人が彼女の友達。名前は忘れた。
0 件のコメント:
コメントを投稿