2010年2月14日日曜日

14日の日曜日


明けて今日が中国の旧正月ということで、前日韓国料理店に一緒に行ったメンツでまたチャイナタウンに行こうという誘いがあったので、約束の時間6時きっかりに僕は待ち合わせ場所のPriscillaに到着しました。

予想通りそこに居たのはフランス人のサミュエル一人だけで、仕事でもともと遅れることがわかっているパティはいいとして、言いだしっぺのコロンビアーナ達もまだ来ていません。

15分ほど他愛無い会話でサミュエルとやり過ごしながら彼女たちを待ち、ちょっと電話をかけてみようかということで携帯を手に持った時、ショートメールの着信がありました。

「ハーイ。
ごめんアタシら行けなくなっちゃった。
もうそこに着いちゃってる?」

着いちゃってますとも。当たりめえだろ。

とりあえずサミュエルに伝えて「今日はキャンセルだな」と言って帰ろうとしたら
「せっかく来たんだから一杯ひっかけてかないか」
とのこと。

同意してホモカップルのように二人でパブに入りました。
パブでの時間はなかなか有意義な会話に費やされたわけですが、途中僕の携帯に着信が入ります。

あみちゃんからでした。
そうだ。チャイナタウンに誘っていたんだった。

「今友達と一緒で、今からそっちに向かうところなんですけど」
ときたものだから「気持ちは嬉しいけど今こっちオッサン二人だけだよ」と伝えると、いずれにしても韓国人の男友達が既にチャイナタウンの中のレストランで待っているみたいでそちらにも顔を出すからとのこと。

「30分かからないと思います」
と言うので、その倍の時間を推測してサミュエルと二人で一時間ほどパブでやり過ごしました。

そして一時間後、未だ現れぬあみちゃんを立って飲みながら待つのも疲れたので場所を変えるか、ということでイタ飯屋に移動しました。
そこで一応あみちゃんに電話を入れると
「今家を出るとことです。30分かからないと思います」

こんなやりとりが数回続いて、最終的には彼女を待つのが疲れた僕らはお開きにしてそれぞれの帰路に着いたのですが、地下鉄の駅に向かう途中サミュエルが
「彼女はラテン人なの?」
と尋ねてきました。
まあ、若いコは全世界そんなもんでしょ、しょうがねえべよ。とたしなめたけど何だか申し訳ない。ごめんよ。

そしてサミュエルと別れて自宅の最寄り駅に着き、バスに乗った瞬間、携帯が震えました。
あみちゃんからのショートメールです。

Ima tsukimashita. denwa kudasai

着信時間をみると僕らが地下に入った2分後です。チッ。

ここでまともな神経をした中年なら電話を一本入れて、今日は遠慮しますとのことを丁寧に伝えるんでしょうが、もてない男の悲しい性(さが)なんでしょう、僕はバスを降り「あと20分で着く」と電話を入れて多少の恋心を抱きながら地下鉄を引き返します。

チャイナタウンに着くと、正確な場所がわからない僕を律儀な韓国人が迎えに来てくれました。
彼は名前をミョンと言い、ラーメンズの片桐仁を更にもうひと塗りした感じのナイスな顔面力を持っていて、一目惚れした僕は、うちのブサイクコンビといいスリートップが組めるぞ、などとくだらないことを考えてしまいました。

レストラン、というかスナックみたいなところに着くと、彼と韓国人女性のマリーとあみちゃんとの4人で会話を楽しみました。

お題は「いかにしてあみちゃんが今惚れているラウールを口説き落とすか」。

軽く失恋です。

ちなみにミョンも今、恋をしているところ。
相手は、同じ学校だけど初級クラスの彼らとは違ってIELTS、って言うんだっけ、何か頭のいい人が受けるテストのための勉強のクラスに所属している日本人です。

ちなみにそのコは日本に彼氏がいるらしく毎晩長電話をしているくらいラブラブだそうで、ミョンのつけ入る隙は全く無さそうなのですがそれを全て知っているミョンはニヤけながら
「それでも告白したいんだよなあー」
だって。

ミョン、28歳。

それを受けて女子たちは
「そうだよ。アタックしなよ。チャンスあるかもよ」
と面白半分どころか面白十割の無責任な後押しをしてましたが、その後あみちゃんが日本語で僕に
「ま、無理だろうけどさ」
とバッサリ。

その後もイギリス人の恋人がいるマリーはみんな放っておいて、あみちゃんの前彼の話やミョンの日本人フェチの話でキャピキャピ(死滅語)盛り上がっていたけど、何だこの高校生ノリ。

俺らのガキの頃はナンパ目当てで車を流していて、見つけた人影が男か女か見わけづらい時
「あれ、マ〇コ?」
「いや、チンコ」
「じゃ、ダメか」
とか言ってるくらい、もっとドライでハードで手づかみ感たっぷりだったよな。って何でいばり口調?
そんなこと誇るんじゃない。

でもとりあえずあみちゃん、大人の男を口説くなら自分の恋愛が二度三度、演歌になってからにしたほうがいいよ。
「本当に前の彼の時は色々あって(感情が行き過ぎて)死ぬかと思った」だなんて「死」を自分から言っちゃうのは、おそらく人間がしでかす最もわがままな行為の一つであり、演歌どころか歌にすらなりゃしない。
それは単に「悲しかった話」だよと年寄りの傲慢をここでも思ってみますが、ただし彼女に対して上から目線にはなれません。

彼女が20代であろうが10代であろうが「その時その瞬間の『絶対』は、人生全体の中での『絶対』ではない」なんてことをしたり顔で言い切りたくないからです。
僕は年寄りですがそこまでの自惚れは持てません。

なので一応の誠意を持ってアドバイスをしてあげたけど、自分の経験談からしかモノを言えない僕のアドバイスは、その元となる経験がどうにもダメ男全開の斜め感があるので、僕のアドバイスは無視してくれた方がいいかな。

あとミョンのアニメソング的なコイバナ。
あれは上から目線どころか大いに共感できる。
もてない男の童貞的思考回路。発想。情熱。

抱きしめて慰めてあげるからこっぱみじんに砕けてこい。
万が一、いや兆が一、奇跡が起きてもお前に関しては殴らないであげる。

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